前編 宇宙人との接触と地球統一政府の誕生

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人類の宇宙進出と異星人とのファーストコンタクト

アメリカの世界支配とパンデミック

20世紀に起こった二度の世界大戦、

その後の東西冷戦を経て世界唯一の超大国になったアメリカ合衆国による世界支配は

21世紀に起こったイスラム原理主義や中国の台頭を抑え完成した。


イギリスとの独立戦争後、新大陸に誕生したアメリカ合衆国は

神から与えられた明白なる使命「マニフェスト・ディスティニー」と称してインディアンを殺戮しながら西部開拓。

そのままアメリカ大陸を横断。フロンティア消滅後も西への勢いは止まらず、

海へ飛び出しハワイを侵略併合、そしてアラスカをロシアから購入。

当時の大国スペインとの米西戦争で勝利し、フィリピンとグアムを手に入れ、太平洋をも横断した。

その後、モンロー主義を掲げヨーロッパから孤立しつつ、南米諸国の独立を支援し新大陸への影響力を強め、

第一次世界大戦の発生と参戦により、戦場となり没落したヨーロッパに代わり大国へと伸し上がる。


第二次世界大戦では中国権益を巡って同じ太平洋の新興国日本と対決。

冷戦期はソ連を筆頭に世界の共産主義者とにらみ合い

東アジアの同盟国に軍隊を駐屯して朝鮮戦争、ベトナム戦争に突き進んだ。

ソ連崩壊後、世界唯一の超大国となった後も、

中東におけるイスラム原理主義やテロリズムの台頭の中、湾岸戦争、イラク戦争を戦い続けた。

アメリカの世界支配の道のりは西へ西へと進み、ついに一周した。


21世紀中盤以降、アメリカの支配は宇宙に及んだ。

タイの首都バンコクのアナンタサマーコム宮殿を本部にアメリカ政府の傀儡である国連宇宙軍を設立。

2020年代にアメリカ主導で「フロンティア計画」が発動。

月やスペースコロニーなどの宇宙施設が国連宇宙軍によって整備され、

2045年には火星衛星ファボスの開発に着手、

世界人口100億人時代を前に、2060年には宇宙移民を開始。

2050年代後半にアフリカやヨーロッパで新型インフルエンザが大流行したため

疫病のない「クリーンな宇宙」を宣伝し、人類の宇宙進出を促した。


ファーストコンタクト

しかし、21世紀最後の年、2100年、

月の裏側で第一地球外知的生命体(バラゴメス帝国)とのファーストコンタクトが起こった。

以後、月では地球人とバラゴメスとの衝突が度々起こった。(月紛争、第一次バラゴメス戦争)

ファーストコンタクトにより、国際連合の安保理(米、英、仏、露、中)は

地球防衛理事会(日、米、欧、露、中)に発展解消、対応を模索した。(UFO排撃法

地球防衛理事会で編成される国連宇宙軍は

宇宙開発や一般市民の宇宙観光や移民を規制して大気圏の封鎖を開始した。

一方で、ファボスを直接統治して、地球の窓口として一部の宇宙人を受け入れ貿易等、異星人文化の吸収を開始した。

地球では混乱を避けるため、月での戦闘や宇宙人の情報は厳しく規制された。

銀河勢力図

 赤…アースデリア帝国 青…バラゴメス帝国 オレンジ…リマ星諸国(イカルス大帝国、フレスト帝国) 緑…デイツー帝国含むエース星諸国

当時の宇宙情勢はバラゴメス(図の④)とアースデリア(図の⑤)の二つの星系の覇権争いがあった。

地球は彼らにとって「ホマ」(図の①)と呼ばれ、多くの資源があると両勢力から狙われていた。

バラゴメスが月に勢力を伸ばすと、2104年、アースデリアは宇宙軍が開発に着手していた火星を武力を持って制圧した。

地球側は火星の整備に取り掛かったばかりで、その上バラゴメスとの紛争もあり、二面戦争を避けるために抵抗できなかった。

黒い巨人~セカンドコンタクト~

セカンドコンタクト

22世紀初頭の宇宙軍の宙禁政策は成功し、地球内地は比較的平和な時期がおとずれた。

しかしコロニー運営などの政治権は着実に宇宙軍のものとなり、

地球防衛理事会の決議を待たず独断行動を取る場面が多くなっていた。

こうした状況はかねてから宇宙軍がアメリカをはじめとする北米連合の傀儡だと指摘し、

組織改革を訴えてきたロシアやEUの反発を招いた。


2150年、突如、アースデリア帝国の宇宙艦隊が巨大な人型の機械を引き連れ(黒い巨人、恐怖の大魔王)

宇宙軍本部のあるマレー半島上空に現れ、大気圏封鎖を解くように要求した。(セカンドコンタクト

国連宇宙軍は内地の混乱を鑑み即座の回答を避け、1年の猶予を求めた。

ファーストコンタクトでは情報の秘匿に成功したが

この出来事は世界中の多くの人々に宇宙人と宇宙戦争の存在を認めさせ

民族や宗教、国境を越え地球人というアイデンティティーが生まれる転機となった。

セカンドコンタクトは世界の経済・文化に大きな影響を与えたが、

特に世界各地で宗教的権威の発言権が大きくなり、ローマ教皇庁(バチカン)の動向が注目されるようになった。


この異例事態に対して回答猶予期間中、宇宙軍は地球防衛理事会に判断をゆだねたり、

ローマ教皇の意見を求めたので宇宙軍の権威は低下した。

しかし地球防衛理事会がまともに機能したので、かえって決裂は一時持ち直すことになった。

宇宙軍はファーストコンタクト以来

対異星人決戦兵器の開発に取り組んでいたものの

アースデリアの巨大兵器に対抗できるだけの技術力には到達していなかった。

理事会は黒い巨人による圧力に屈し、

1年後再び来航したアースデリア艦隊に大気圏封鎖の解除を認め、

セイロン島とニューファンドランド島の二つの宇宙港を開港した。

地球の代表政権として国連は通商条約を結び、

アースデリアは開国の見返りとして火星自治区を与えた。

その後、なし崩し的に続々と来航する異星人国家と相次いで通商条約を結ぶ事になる。


火星がアースデリアの侵攻を受け、

交渉の人質となっていた事実は地球防衛理事会には知らされておらず、

宇宙軍の隠蔽体質が暴かれることになった。

また既に太陽系の多くの惑星が異星人の勢力化となっており、

宇宙時代における地球人類の境界として、諸惑星を解放し、

地球人類が太陽系を統一する代表国家となり、

異星人国家と対等な関係を作っていくことが課題となった。

月独立戦争

一方、月ではバラゴメスとの戦争が膠着状態に陥っていた。

地球政府(国連宇宙軍)は当初こそ地球人類の生存戦争であるとして

月植民地を積極的にバックアップしていたが、

戦いが長期に及び、全面戦争から小規模なゲリラ戦へと戦争形態が変化すると共に

戦力の縮小、配備の見直しを始め、月の前線は慢性的な支援不足に陥っていた。

セカンドコンタクトを迎え、アースデリア帝国に続き、

地球政府は係争中のバラゴメス帝国とも正式な通商や月における領土問題を交渉中であったため

バラゴメス側を刺激したくないという思惑もあった。


月植民地政府はファーストコンタクト以来戦費の負担を強いられており、

月で生産されているルナニウムは依然地球系企業に独占されていたため財政を圧迫していた。

月植民地では度々の要求にもかかわらず、植民地経営が改善されないため

交渉によって月が見捨てられるのではないかという地球政府への不信感を募らせていた。


フランコ・ルナ首長は地球政府との交渉を断念し、ルナニウム国有化を宣言。

それに反発した宇宙軍はバラゴメスと急速に接近、休戦協定を結んで

安保理決議に基づき宇宙艦隊を月に展開し圧力をかけた。

2159年、月政府は

「同胞を見捨て、異星人と和する国連に地球の代表政権を名乗る資格はない」として

国連脱退と地球政府からの独立を一方的に宣言。

アースデリアと密約を結んで火星の地球人自治区に攻撃をしかけて月独立戦争が始まった。

異星人排斥運動と逆十字軍~二度にわたるヨーロッパ戦争~

EUとAUの対異星人戦争

2151年の開国後、地球の内地の安全神話は崩壊し、宇宙人犯罪が急増した。

その結果、元々開国に反対だったEUやアフリカ連合では異星人排斥運動を政策の一つとした。


ヨーロッパで排斥運動を扇動したのがバラゴメスと戦火を交えた月の退役軍人たちで

2130年にポルトガルで結成された政治結社イベリア志士同盟だった。

志士同盟はローマ教皇を中心とした中央集権的地球統一政府樹立を目的とし、

ファシンテルン(ファシズム・インターナショナル)を形成し、世界中にネットワークを広げた。

バチカンは志士同盟と関係があったわけではないが、

宇宙人犯罪を断罪し、地球人類として対抗しようという志向では共通していた。

アメリカや国連宇宙軍はファシンテルンを「ナチズムの再来」と批判して、

アメリカや東南アジアの関係者を処罰し、

国外の支持者をテロリストとして国際指名手配を行うなど激しい弾圧を開始した。(ブラック・パージ

弾圧を主導したアメリカ大統領や宇宙軍の最高司令官はベトナムの志士に暗殺された。


一方でヨーロッパでは大気圏封鎖解除後、

ファーストコンタクト以来異星人と戦い続けた英雄である志士同盟に支持が集まり、

2155年にEUの最大議席を獲得。ヨーロッパに来航する宇宙船に対して攻撃を開始した。

EUはルナニウム国有化後の月植民地制裁の安保理決議に

常任理事国では唯一月政府に同調し理事会を欠席した。

EUはEU宇宙軍を創設したばかりであり、宇宙艦の造船にルナニウムは必須であった。

EUは秘密裏に月政府に接触し、宇宙軍艦隊の封鎖を潜り抜けてルナニウムを月政府から買い付けた。

EUは独立戦争において月植民地政府を積極的に支援した事実はないが、

以後、打倒アメリカ(宇宙軍)を目指す路線(カトリック・ファシズム)に変更するなど

月植民地政府と同様の反国連宇宙軍組織としての性格を持つようになる。


アフリカ連合は急進的な国連改革を迫る志士同盟とは対立していたものの

異星人排斥政策は共通しており、

特にアフリカ大陸南部では異星人を狙った襲撃事件が多発し、

治安維持を担当するアフリカ待機軍もこれを容認していた。


この結果、EUとAU両国は2160年にアースデリア・リマ連合艦隊、イカルス大帝国の報復をそれぞれ受けた。

両国は共に異星人の科学力の前に敗れたが、この経験が近代化を目指すきっかけとなる。

国連を事実上支配している北米連合(合衆国、カナダ、メキシコ)は、

宇宙人との全面戦争を恐れ、そして地球防衛理事会の団結を密にするため、

2161年、中国を中心にした東アジア連合やロシア、日本、オーストラリア、南米諸国連合を誘って環太平洋連合を設立し、

長らく同盟関係にあったヨーロッパとの軍事同盟NATOを解体した。

EUはアメリカに不信感を持ち、

ロタ軍港の米軍第六艦隊の立ち退きを含むジブラルタル海峡の封鎖を決定した。(大西洋の壁)

北米連合でEU征伐の機運が高まる一方で同じく異星人排斥派でありながらAUとの関係は継続された。

この対応の違いはEUが国連による世界秩序転覆を狙った確信犯的犯行であり、

AUは偶発的騒動から紛争に発展したという経緯の違いがある。

EUの国連追放とヨーロッパ攻撃

北米連合は常任理事国からのEU排斥を画策し、

国連総会でヨーロッパ代表権をEUから再びイギリスに継承させる決議案を提出する。

日本やアフリカ諸国は反対したが、米中露など多くの国が賛成票を投じ可決された。

EUはこれを受けて国連脱退を表明し、

内側からの国連改革を諦め、国連解体、地球再統一を訴えるようになる。


この頃からバチカンは積極的に政治的な発言を繰り返すようになり、

国連のオブザーバーの立場から地球人同士の争いをやめるように訴えるが、

2162年、夏、北米連合は暴走するEUを征伐する目的

環太平洋連合の中国軍やAU軍を中心に国連軍を編成しヨーロッパ攻撃を開始した。(第一次ヨーロッパ攻撃)

EUと同じ異星人排斥派のAUが国連軍に参加したのは

異星人排斥事件の処理を巡って国連に便宜を図ってもらう政治的意図があった。


ヨーロッパの各都市は空襲を受けるが、

これは懲罰的性格の戦闘行動であり地上部隊が派遣されることもなかった。

異星人攻撃作戦の責任者であった将軍が無人機の攻撃で暗殺され、

国連は地球の代表政府として首謀者の処刑という形で

異星人に対して一応の筋を通したことになった。

しかし、多くの指導者は地下に籠って生き残った上に

バチカンはEU非加盟ながらEU諸国に囲まれているという地理的状況があり、

この攻撃を通してバチカンとEUは密接な関係を築く事になり、

錦の御旗を手に入れたEUは一連の国連軍の敵対行為を逆十字軍と呼び、

さらに団結力が増す結果となった。


国連はこの一度の攻撃でヨーロッパ和平に傾き始めるが、

環太平洋連合軍とAU軍を始めとする多国籍軍は

ローマ教皇は「バチカンの囚人」であり、EUはバチカンの宗教的権威を利用しているとして

2163年にローマ教皇救出を名目に地上部隊のイタリア派遣を決定し、ローマ駐屯を始める。

バチカンは永世中立国のスイス兵が守っているが、

その周りをEU軍が囲み、さらにその周りを多国籍軍が取り囲む形となった。

赤…環太平洋連合 黄色…環太平洋連合の同盟国 青…EU 緑…中立国(濃い緑…宇宙軍進駐国)

※リマという星は銀河系で最初に近代化した星としてしられている。

またリマには銀河列強の帝国が乱立し、星単位で統一されていない。

アースデリア・リマ連合艦隊にはリマ星から参加したのはイカルス帝国、フレスト帝国、オレーデ王国の三国である。

第三次世界大戦~地球統一戦争~

英連邦の崩壊と南北同盟

イギリス

親米的な外交を続けたイギリスは、ヨーロッパから孤立し、

また旧植民地である南アフリカ共和国などのアフリカ諸国はAUの発展によりイギリスとの関係は弱まり、

オーストラリア、ニュージーランドなどのオセアニア諸国も共和制移行問題が再熱していた。

こうして大英帝国の流れを汲む英連邦(コモンウェルス)は崩壊の危機を迎えていた。

イギリスは政治的劣勢を挽回すべく

北米連合を後ろ盾としてEUから常任理事国の代表権を剥奪した。


2163年に多国籍軍は教皇救出を名目にイタリアに地上部隊を派遣、

一時バチカンを包囲するもののEU軍は第二次レコンキスタを開始、

サンティアゴ・セドロ率いるEU軍特殊部隊の活躍もあり、

ヨーロッパから多国籍軍を追い出し勝利する。(第二次ヨーロッパ攻撃)

この中でジブラルタルやキプロスなどのイギリス植民地もEU軍が制圧。

これにより、イギリス旧植民地各国は正式に英連邦から離脱し、コモンウェルスは崩壊した。


先住民アボリジニの血を引くウィリアム・ヒル

政治団体ユルルングルを組織してオーストラリア内での共和制運動を主導した。

共和制移行に成功したものの政略により失脚し

その出自のため白豪主義者に狙われるようになったため、南アフリカ共和国に亡命。

そこでグローバル・ファシストに転向し、

共和制オーストラリアの環太平洋連合主義を批判。

共に異星人との戦争を経験しつつも犬猿の仲だったEUとAUに働きがけ、

AU議長バージル・ウェストモーランドとEU全権シスコ・ベイ=ローレルがジブラルタルで会談し、

強力な打倒アメリカ勢力、南北同盟を実現させた。

同盟に伴いAUは国連を脱退した。


ウィリアム・ヒルはオーストラリアに帰国、

大統領補佐官に就任し、環太平洋連合脱退を宣言。

これはオセアニアからカトリック教徒が多い南米諸国連合にも飛び火して、連合脱退の連鎖が起こった。

旧英連邦でアメリカに協力的だったのはイギリス本国と同じアメリカ大陸のカナダの二カ国だけだった。

赤…環太平洋連合 青…南北同盟+同盟国 緑…中立国(濃い緑…宇宙軍進駐国)

シベリア革命

東アジア連合(中国)はファシンテルンやトルコ正教会の仲介による

カトリックとロシア正教の和解(エキュメニカル運動)への話し合いにより

環太平洋連合の中心的な存在であり、

今まで中立的な立場をとっていたロシアの脱退するという情報を聞き入れ、

2162年、特殊部隊をトゥヴァ共和国などのシベリア地域に送り込み、

アジア系民族独立派を支援し大規模なクーデターを決行した。


後に北米連合も干渉して2163年広大なシベリアに中国の傀儡国家「シベリア共和国」を誕生させ、

中国の東アジア連合に参入させ「大中華連合」に拡大発展した。

この事件をもってロシアは環太平洋連合を脱退してシベリア共和国に宣戦布告した。

日本でもこのクーデターの最中にファシンテルン日本支部である「団結党」によるクーデターが起こり政権を奪還。

ロシアの混乱に乗じて北方四島を含む千島や樺太を占領し国土回復に成功したが、

これら北方領土の帰属を巡って日中対立に発展した。

『世界最終戦争』メギドの戦い

第二次ヨーロッパ攻撃の敗北とシベリア革命は世界に大きな衝撃を与えた。

EUとAUによる南北同盟の結成、

オーストラリアや南米の脱退を受け環太平洋同盟の結束も緩んだために

国連の地球代表政権としての政権基盤も怪しくなった。

アメリカはローマ教皇庁に対し教皇権とイタリア半島における教皇領の復活を認め、

多国籍軍はイタリアを引き上げた。

これはEUのカトリシズム的打倒アメリカ主義の大義名分を失わせる目的であり、

バチカンは政治的中立の立場から国連に対して投票権を行使できないため、

引き続き国連宇宙軍が実質的な政権を担う予定であった。


これに対し南北同盟は、政治上の劣勢を挽回すべく

ローマ教皇庁の名をもって帝政復古ドミナートゥスの復活)を宣言する。

これは国連を解体して、

それに代わるローマ教皇をトップとする本格的な地球統一政府の内容であった。

さらに会議では国連宇宙軍総司令官に対し

宇宙軍の統帥権の放棄と宇宙軍領地の一部返上の要求を決定した。


国連は宇宙時代に合わせた国連改革という名目で

従来の北半球のみだった地球防衛理事会に

南半球のAUと南米諸国連合を参加させる勧告を行った。

これは南北同盟を瓦解させようという宇宙軍の目論見であった。

宇宙軍司令官はAUトップのバージル・ウェストモーランド将軍と協議するために

エジプト・カイロに赴くが、

AU軍は司令官不在のバンコクで、宇宙軍本部を護衛していた東アジア連合軍基地を襲撃、

東アジア連合軍が報復でAU領事館を占拠する事件が起こる。(バンコク事件

これはあらかじめ仕組まれた挑発行為だった。

国連宇宙軍はAU軍の主力があるエルサレムへの派遣を決めた。


2164年、9月 EU軍はAU軍との合同軍事訓練と称して

イスラエルのハイファへ艦隊を移動を開始。

宇宙軍はバチカン、エルサレムと相次いで宗教的聖地を抑えられることは

統一政府を勢いづかせ、

権威を相手側に与えてしまいかねないとして訓練の中止を要請。

宇宙軍は基地のあるエルサレムからハイファを封鎖するために進軍した。

この結果、国連軍と南北同盟軍はメギドで激突した。(メギドの戦い)

戦いには環太平洋連合により、東アジア連合軍(中国)も参加し、

戦域は中東全域に広がり、第五次中東戦争となった。

翌年には南北同盟がアメリカに宣戦布告して大西洋戦争が始まり、

すぐさま世界規模の第三次世界大戦となった。国連は機能停止に陥った。


南北軍は主にイカルス大帝国から、環太平洋軍は主にフレスト帝国から、軍事教練や武器供与などの援助を受けていた。

しかし両陣営とも宇宙人軍隊の派兵を要請することはなかったため、銀河列強による内政干渉や武力介入という事態は避けられた。

日本の極東同盟

大西洋戦争はこう着状態に陥ったが、「メギドの戦い」では同盟軍が勝利し、

その勢いを持って宇宙軍本部があるタイに向かって東征を開始した。

宇宙軍司令長官はカイロで軟禁状態であったが、

北米連合軍による救出作戦によって救い出され、インド洋を出てバンコクに向かった。

宇宙軍や環太平洋連合はメギドの戦いでの敗北に衝撃を受け迅速な対応を迫られた。

一方、アジアではシベリア革命の余波で日中対立が先鋭化、

日本は環太平洋連合を脱退して中立を表明、台湾やパラオ、フィリピンもそれに続き、

大中華連合、環太平洋連合ともに脱退し日本の中立同盟(島嶼連合)に参加した。

この日本の行動はシベリア共和国の誕生により、日本は連合に残るだろうと予想していた全世界が衝撃を受けた。

アメリカの仲介があったものの

台湾を国家承認した日本とシベリア共和国を建国した中国との関係は修復することなく、

中国の沖縄・台湾侵攻によって東アジア戦争に発展する。

中国の前のめりな決断はかえって日本とオーストラリアの同盟である「極東同盟」(2167年、3月)を作るきっかけになる。


赤…環太平洋連合 青…南北同盟+極東同盟 緑…中立国

東アジア戦争

南北同盟軍は連合・宇宙軍が駐留するサウジアラビアのキング・ハリド基地を攻略し、順調にタイ・バンコクに向かいつつあった。

経由地にあるインド南部のベンガルール宇宙軍基地はその規模から難攻不落と恐れられたが、南北同盟軍のシンパが活躍した。

2167年に結成された極東同盟(日本同盟・オーストラリア)はマレーシア・ボルネオ島に軍隊駐留。(中国包囲網の形成)

大中華連合は防衛ラインの拡張を企てインドネシア・スマトラ島を奇襲。極東同盟と島単位で争う戦いを起こす。(東アジア戦争)

しかしインドネシア人の中国に対する不信感や、インドに進んだロシア軍、南北同盟軍と挟まれる形になったこともあり、

ついに東南アジア方面は南北・極東同盟に囲まれる形になりバンコクの宇宙軍本部は降伏した。しかし宇宙軍の将校はアメリカ本土に逃げ延びた。

日本はシベリア出兵、アッツ島の占領などベーリングルート(大中華連合に対する北米連合の支援ルート)の妨害を行い、

長らく友好国であったアメリカとの間で第二次太平洋戦争を始めた。

ロシア軍も中国のウイグルやチベットなどの民族運動に加担して、チベット方面にまで進出、

アメリカ義勇兵ホワイトタイガースを出動させるがあえなく全滅。

中国が降伏し大中華連合は消滅。

シベリア共和国も降伏したが将校クラスはやはりアメリカ大陸に逃げ延びた。

これにより2168年、冬、東アジア戦争は終結した。東アジア戦争は第三次世界大戦最大の戦争だった。

赤…大中華連合+北アメリカ連合 青…南北同盟+極東同盟 赤矢印…連合軍の進路 青矢印…同盟軍の進路

アメリカ戦争からペンタゴン攻防戦へ

大中華連合降伏の後、日本はパラオと共にグアムを占領して、アラスカ方面に進軍。

オーストラリアと共同でハワイを攻略してアメリカ西海岸の上陸を目指した。

大西洋方面は開戦当初から激戦が繰り返されていて膠着状態になっていたが、

太平洋方面での戦いの影響で後ろから挟み撃ちにされる状態になり、

南北同盟の本隊がバミューダ島を占領した後、ついに東海岸に上陸、

極東同盟も西海岸へ上陸、アメリカ本土決戦が始まった。(アメリカ戦争)

このため、世界史上長きに渡って攻撃を受けることが少なかったアメリカ大陸の大都市は崩壊し、多数のアメリカ国民に被害がおよんだ。

ニューヨークで激しい戦いが行われ、日本別働隊はエリア51を制圧、ラスベガスを占領し、シャイアンマウンテンを攻略。

まずは西部戦線で北アメリカ連合が極東同盟に対して降伏した。


赤…北アメリカ連合 青…同盟軍(統一政府) 緑…中立国


一方で、南北同盟は無条件降伏を要求したため、西部戦線は継戦され、アメリカ合衆国はワシントンの戦いの後に無条件降伏を受け入れた。

しかし降伏した後も、宇宙軍や環太平洋同盟の残党は南北同盟軍に対して民間人に混じってテロを断続的に行った。

後に残党がペンタゴンを占拠し戦闘の準備をしていることを知った南北同盟軍は最後の追い込みを開始し、

2169年、ついに残党がペンタゴンに終結して南北同盟軍と最後の戦いであるペンタゴン攻防戦が始まった。

結果、南北同盟軍が勝ち、アメリカの世界支配は事実上、崩壊。

旧勢力は一風され地球統一政府は南北同盟と極東同盟が中心になって始動し出した。

地球連合の誕生

地球連合旗(藍色は宇宙、中央の青い円は地球を表す、黄色い十字と円を囲う枠はキリスト教最高司祭ローマ教皇を表す。仏教における卍、地球の惑星記号の意味も含む)


第三次世界大戦(地球内戦)が終結すると、南北同盟極東同盟を中心に新体制の整備に取り掛かった。 

そして2170年に誕生したのが地球連合である。

当初の安全保障理事会はEUとAUそして日本、オーストラリア、ロシアに強い権限が与えられた。

地球連合はヤコレル宇宙連盟と名乗る組織から加盟勧告を受け、加盟した。

それにより、地球は銀河の中心までの30光年をおよそ半年で運行できる超光速宇宙船を初めて購入し、

それを利用して連合使節団を銀河各国に派遣し先進テクノロジーを学ぶだけでなく、

ローマ教皇が地球政府の元首であり主権国家であることを内外に宣言した。

そして地球連合は月で依然、断続的に続くバラゴメスとの紛争の解決と領域の確定を最初の課題とした。

     

地球連合安全保障理事会常任理事国

南米掃討作戦

まず、地球連合は宇宙開発機構(在:カナダ)を設立し、内部に宇宙鉄道事業団を開設して

地球人の星間移動を活発化させ銀河列強による太陽系侵略をけん制した。

一方、南米に多数のビスマークのスパイが入っていることを掴んだ連合は日系人が中核を成すUBI(連合捜査局)保安警察を送り込むが

現地人に擬態化したレプティリアンに多数殺されてしまう。

直ちに連合軍は南米全土を占拠し、国際問題に発展した。

ビスマーク皇帝(竜王)は国家統治の及ばない人々の犯行として責任を回避し、スパイ説も否定した。

ムーン・ショック

2171年、地球政府はファボス会議にて月をすべてバラゴメスの領土にする代わりに

バラゴメスが領有していたセレスを中心とする小惑星群を地球が領有することで紛争問題を解決した。(月・セレス交換条約

同時に地球より内側の星(水星と金星)には侵攻しないこと、地球人の領土であることを改めて認めさせた。

地球連合としては火星よりも外にある小惑星一帯に戦略的価値があると考えていた。

しかし、月を手放したことに民間人からは批判が相次いぎ、過激デモが頻発するムーン・ショックが起こった。

月での人類の生活は100年以上も続いて、ナショナリズムが芽生え始めていたこともあって、

愛着心を抱くものたちはアイデンティティーを損失し、火星などの他の星への移民を余儀なくされた。


※ヤコレル宇宙連盟とは銀河列強が加盟している国際組織。ビスマークやホマリは未加盟でビスマーク連邦という竜王による冊封体制に基づく国際組織に加盟している。

※この時の地球の領土としては地球とファボス、火星半分、セレス(小惑星郡)、水星、金星である。

太陽系の他の星は、月と木星の大半がバラゴメス領、火星半分と土星がアースデリア領。その他はリマ星系の諸国に分割統治されていた。

※月・セレス交換条約締結後、地球連合は月監視局(在:ファボス)を設立した。

ホマリ開国論争と火星・アフリカ戦争

ホマリ開国論争

地球から最も近い、知的宇宙人の星であるホマリ星は以前の地球と同じように宙禁政策をしていた。

地球連合はビスマーク帝国と国交を結ぶことには成功したが、ホマリは開国を拒んだ。

地球連合は国力の発展と資源の確保のために通商目的で開国を求めたが、

ホマリ星はビスマーク帝国の影響下にあり、

ビスマーク皇帝の冊封体制を受けていたのでローマ教皇を認めずこれを拒否し続けていた。


2173年、宇宙軍星軍大将バージル・ウェストモーランドは交渉が決裂した場合は戦争になる事を覚悟したうえで

自らホマリ星へ赴き交渉に乗り出そうとしたが、

ローマ教皇はEUが中核となっている連合使節団が帰還するまでは重大決定をしないように求めた。

帰ってきた使節団は銀河列強の強さを学んだ上で、地球防衛体制を整備する事が先決であり、

南北アメリカ問題など国内問題の解決や統一政権としての基盤の強化を訴え、

ウェストモーランド将軍の開国論に反対し、ホマリ開国論争が沸き起こった。

最終的にウェストモーランド将軍はこの論争に破れ、星軍大将など数々の役職を辞任し、南アフリカ共和国に帰った。

将軍に続き多くのAU出身者が政治の舞台から去っていった。

結局、連合はアースデリアが地球に対して行ったように

軍事力を背景としたG兵器による圧力外交を行い、ホマリを開国させた。(白い巨人)


この論争の本質は地球連合内部でのAU排除とも言われており、

北米統治における大西洋三角問題を始め、

地球連合の誕生と共に南北同盟が解消されて以降、EU閥とAU閥の対立が先鋭化した。

バージル・ウェストモーランド将軍の反乱と宇宙貴族主義の台頭

地球連合は加盟国に対して国軍を廃止し、正規軍として宇宙軍を編成し各国の戦力を再編する事を宣言する。

この事に旧AU軍を筆頭に各国国軍が権力維持のために反発し、各国で武装発起が起こった。

アフリカにおいては軍の精神的指導者であったウェストモーランド将軍が

連合に対して半期を翻し宣戦布告、アフリカ各地で戦闘が起こった。(アフリカ戦争


また、連合は第三次世界大戦からの地球復興を名目に掲げ、

資源の節約と国防のために、コロニーを『地球を守る砲台』にしようと画策し、

軍事施設や工場を残し、民間のコロニー移民者を地球に帰還させる「ターン計画」を発表した。

ムーン・ショックが続く中での発表は宇宙移民者に更なる混乱を与え、

ターン計画の撤回を求め、コロニー同盟が結成された。

火星自治政府はかつての月独立戦争の英雄フランコ・ルナの実弟であるホセ・ルナ区長の下、

地球政府の意に反して宇宙移民者の受け入れを進めた。

そしてホセ政権はルナ家再興のために動き出した。

ホセは「宇宙に住む人こそ宇宙政策の決定権がある」として反地球政府、宇宙貴族主義を掲げた。


ホセはマーズファクトリー火星開拓事業団を融合し、武装化。

亡き兄フランコの実子であり、著名な歌手であったイサベル・ルナを女王に据え、

自ら公爵として摂政を行う火星公国の建国を宣言し、

コロニー同盟の加盟ランドが火星公国の参加を決めて、火星帝国となった。

ホセはアフリカで劣勢を強いられたウェストモーランド将軍を救出し、大元帥として帝国軍の指揮を任せた。

火星帝国は火星独立を求め地球連合と戦った。(火星独立戦争

アフリカは間もなく地球政府により鎮圧されたが、

ウェストモーランド将軍はじめ主導者が火星に移ったので火星の独立戦争はまだしばらく続いた継戦された。

これらの戦いを合わせて火星・アフリカ戦争という。


この戦争の死傷者は第3次世界大戦を凌駕する規模になった。

地球人同士の最後の戦争と考えられており、

この戦争の結果、ウェストモーランド将軍は戦死

地球連合は多くの場で旧AU勢力を追い出す事となり、実質的にEUに権力が偏ることになる。